■black ■ev/cg/05_01.jpg +fade  目の前に、花嫁衣裳に飾り付けられた骸が横たわっていた。  寝台にきちんと寝かされ、目を閉じ、髪を正装に結い上げられている。  額には、死者を弔い、鬼を鎮める護符がしっかりと貼り付けられていた。  老夫婦が、この一人孫娘を如何に大切にしていたかが、その丁寧な葬い方からも、よく解る。  頬と唇にはうっすらと紅がひかれ、一見すると血が通った肉体のように思えた。 ■ev/cg/05_07.jpg (それにしても―――)  美しい娘だ―――  小さな唇はつんと上を向いて艶やかさを保っており、ふくよかな頬はすべすべと丸く、目元の睫毛はくっきりと長く細く伸びている。  肌の浅黒さも、都の妓女のように人工的な美とは異なる野生の美しさを引き立たせている。  瞳を開ければ、その美しさは、さらにいや増すであろう。 ―――絶代佳人あり、幽居して空谷に在り、とは、正にこの事か…… ■ev/cg/05_02.jpg  しかし、近寄ってみると、生者が発するあたたかな温もりは全く感じられず、しんしんと冷えきった抜け殻に過ぎぬ事が見て取れた。  少女の容姿が美しく可憐であるがゆえに、その冷たさはいっそう強く感じられた。 (私に―――できるだろうか?)  老夫婦に頼まれたように、自分に、このおぞましい空っぽの骸を抱いて、愛を注いであげられるのだろうか? ―――何故、俺は、こんな依頼を引き受けてしまったのだろう。  親切にしてくれた老人の頼みだからか?  恋も知らず若くして死んだ娘に憐れみを感じたからか?  色欲に目が眩んだか?  それとも、ただの興味本位なのか?  自問自答してみるが、思考はぐるぐると空回りするばかりで、青年には自分自身の動機が答えられなかった。 ―――よし、やろう。やってみてから、考えよう。  答えが解らぬまま試験に臨むのは、青年にとって初めての体験だった。 ■ev/cg/05_03.jpg  寝台に近づき、つめたく冷えた手を取った。  すでに死後硬直は解けており、掴んだその腕は抵抗なく操ることができた。  ―――まるで、人形遊びだ  子供が着せ替え人形を着替えさせるように、横たわる女体から、一枚一枚、着衣を剥がしていく。  着物の合わせ目から手を差し込み、少女の体を露わにしていく。  するりと解けた布地の隙間から、細い鎖骨に挟まれた白い喉が現れた。  鎖骨と鎖骨の間に、掌を当ててみる。 ―――冷たい……  直接素肌に掌をあてると、相手の骸の冷たさがはっきりと伝わってくる。  冷たく、艶やかな感触。  だが、見た目から固いかと思っていた白磁の肌は、意外なほど柔らかかった。 ―――蜜蝋か陶器のような感触を予想していたのだが、これは……  掌の中に握ると容易に形を変える娘の冷たい肌は、素晴らしく官能的であり、背徳的であり、蠱惑的な物質だった。 ―――女子の肌とは、これほどまでに艶めかしいものか……  掌をそのまま下に滑らせていく。  鎖骨の下、少女の両胸の膨らみ、その谷間に手を潜り込ませる。 ―――わ、柔らかい……  柔らかな女体の中でも、最もやわらかな部分  幼い乳房の膨らみはたいした大きさではないのに、それでもこの柔らかさがあるとは、年若い女の体という物は、これほどまでに嫋やかで頼りない代物なのか。 ―――手荒に扱うなど、とても出来ないな……  少女の上着に手をかける。  桃の薄皮を剥くような面持ちで、指先をそろそろと動かす。  上着を脱がせると、小さな肩が剥き出しになった。  まぁるく、白く、すべすべで、たおやかな、若い女の肌が、目の前に広がる。 ■ev/cg/05_04.jpg  そうして、薄衣の肌着一枚になったところで、ふと、手を止める。  ―――白い、な……  真っ白な裸肌が目に飛び込んできて、眩しい。  目を逸らしてしまいそうになるが、一方で、目を釘付けにされてしまう、魅惑的な、若い娘の白磁の肌。 全裸よりも艶かしい生々しさだ。 思わず、視線を下に外したら、そこにはまた、白布の隙間から可愛らしい臍がちらりちらりと覗いていた。  青年は、ぎこちない手元で、薄皮を剥くかのように、しずしずと衣装を脱がせていく。  遂に、少女の体から、肌着を取り去った。 ■ev/cg/05_05.jpg  少女の胸元が露わになり、小さな乳房がまろび出る。  その素肌が外気に触れた瞬間、その小さな体から芳しい香りが漂ってきて、青年の鼻腔を擽った。 ―――あ、この香りは…… 昨夜、小屋で嗅いだあの花の香りであり、霧の中で迷っていた時に導いてくれた香りと同じものだった。この娘の身体から立ち上る香りだったのか……。 ―――この娘の体……いい匂いがする…… 心を安心させるような、それでいて、心をときめかすような、甘く澄んだ匂い…… くんくんと、犬のように鼻いっぱいにその香りを吸い込んでみる。 頭がくらくらしそうだ。 このまま、この肉体にむしゃぶりつきたくなったが、その衝動をぐっと堪える。 己の股間部が、ぐんぐんと大きく、熱く、膨らんでいくのが解る。 なんと浅ましい男なのだろう、俺は…… ■ev/cg/05_06.jpg 青年は、少女の身に付けられている布地を全て剥ぎ取った。 一糸纏わぬ裸身が、寝台にごろりと横たわっている。まるで、祭壇にくべられた供物のようだ。 少女の体から、下穿きを剥ぎ取ると、芳しい体香はますます強く漂い始めた。 狭い小屋の中の空気が、娘の甘い体臭で満杯になる。 ―――俺は、これから、この娘を犯すのだ…… ―――意識が無く、拒むことも出来ぬ、そんな少女を…… せめて、手荒な扱いだけは、するまい。 死者への供養として、餞として、生者ができる事は、実に少ない。 ならば、しっかりと脳裏に刻みつけてやろうではないか。 後々まで事ある毎にこの夜のことを思い返し、心の傷として残るぐらいに――― それが、この憐れな少女に対して自分ができる、精一杯の供養だ、と青年は考えた。 ■ev/cg/05_08.jpg  青年は、少女の裸身にそろそろと指を這わせていった。 まず、綺麗に揃えられた足首を掴んで、二本の脚を分かつように開いていく。 ―――脚が、堅い…… 硬直が解けていない股関節をこじ開けるのは難儀だった。 強く力を込めて動かそうとすると、骨か筋肉がみしみしと音を立てるのが耳につく。 痛覚を持たぬ相手とは言え、細い手足がぼきりと音立てて砕けそうで、無理矢理押し開くのは躊躇してしまう。 ぐずぐずしていると、夜が明けてしまいそうだ。 それに、さっきから膨らんでいる自分の股間の物が、もちそうにない。 ―――これだけ硬くなっていれば、脚を開けなくても、隙間からねじ込めるか……。 少女のしどけない寝姿と、触れた乳房の柔らかな感触に、先程から青年の陰茎は反り返って立起し、じんじんと痛みを感じるほどだった。 ―――もう、いい、このまま、してしまおう。 青年は、おのれの衣服を脱ぎ捨てた。少女と同じく、自分も一個の裸身となる。 ■ev/cg/05_09.jpg そのまま、少女の骸の上に覆いかぶさると、肌を重ね合わせる。 少女の体はひんやりとしているが、弾力は生きている時と同じ柔らかさを失っていなかった。 青年は、固く反り返った己の股間の塊を、死せる乙女の秘裂の隙間に、ぐい、と差し込んだ。 ■ev/cg/05_10.jpg ―――入った。 ―――入れてしまった……。 ■ev/cg/05_11.jpg 少女の骸の胎内は、ひんやりと冷たいものだった。 しかし、かさかさと乾いた固さはなく、とろりとした内襞が、男のものを柔らかく包み込んでくれていた。 しばらく動かさず、陰茎をそこに挿入したまま、じっとその感触を確かめる。 自分の心臓が脈打つ度に陰茎に血潮が流れ込む。 その血液の熱さが娘の内側の肌を徐々に温めていく。 ■ev/cg/05_10.jpg ―――温まってきたみたいだ…… ―――これだけ温ければ、もう、動いても良いだろうか。 腰を動かして、陰茎を少し引き抜き、また秘壺に差し入れる。 ―――おおぅ…… 男性器の先端からぬったりとした快感が沸き起こり、その刺激が背中をじわじわと伝って増幅され、目の奥をちりちりと焼く。 ■ev/cg/05_09.jpg ―――気持ちいい……なんて、気持ちいいんだ…… ―――たまらん……これは…… そこからは、ただもう夢中になって快感に貪りついた。 ■ev/cg/05_10.jpg ぬちゃ、ぬちゃ、ぬちゃ。 小屋の中は静か過ぎて、肉と肉が擦れ合う微かな音までが耳に入る。 ぬちゃ、ぬちゃ、ぬちゃ、ぬちゃ。 熱く湿り気を帯びた青年の硬い肉と、ひんやりと冷えた少女の柔らかい肉弁とが、擦れ合って絡み合って、耳障りな音を立てる。 ■ev/cg/05_09.jpg はあはあと、荒く吐く息。浅ましい。まるで犬のようだ。 いや、犬の方が無心である分、この俺よりましだ。 ■ev/cg/05_10.jpg 尻の裏から脊髄を伝わって、熱い感覚がぴりぴりと強まってきた。 射精が近い。込み上げてきている。 ■ev/cg/05_11.jpg 娘の胎内に突き刺したままで、堅く膨らんだ肉茎をぶるぶると震わせる。 尿道口を通って精液がどくどくと噴き出していくのが分かる。 ■ev/cg/05_12.jpg ―――致してしまった…… なんという愚かで、無意味で、潔い行為だったのだろう。 ■ev/cg/05_13.jpg +fade 事を済ませた後、乱してしまった少女の髪を整えながら、その綺麗な横顔をじっと見つめる。 この娘が生きていた時の姿を、この目で見てみたかったな――― きっとよく笑う子だったのだろう。口元と目元に微かな笑窪が見て取れた。 そっと少女の唇に触れる。 まだ十分に柔らかく瑞々しく、張りのある弾力が残っていた。 紅をさしたその唇に、そっと自分の唇を重ねる。 それはひんやりとしていたが、恐怖もおぞましさも感じなかった。 少女の顔を見つめながら、指先でそっと彼女の睫毛を撫でてみる。 ■ev/cg/05_15.jpg ―――ん? 睫毛の先が、ぴくぴくと震え続けている。 ―――すきま風が吹き込んだのか? いや、先程から風は止んでおり、その証拠に、部屋の明かりの火も揺れていない。 もう一度、少女の頬に手を触れる。 先ほど感じた温もりよりも、もう少し温かみのある感触が伝わってきた。 ―――どういうことだ? ■ev/cg/05_13.jpg そして、 少女の目が、 ■ev/cg/05_14.jpg +fade 開いた――― ■white +fade