■black ―――まず感じはじめたのは、耳に入る音であった。 こう、こう、こう、こう ■ev/cg/00_02.jpg +fade かの娘の気が、ゆっくりとあけてくる。 こう、こう、こう かの人のたましいをよばうのは鴉の聲か、鹿の啼鳴か。 こう、こう、こう、こう ■ev/cg/00_03.jpg そして、次に感じたのは、におい。 水のにおい、花のにおい、 血の匂い、精液の匂い――― ■ev/cg/00_01.jpg 意識のない魂魄は、ゆっくりと目覚めていった。 塵のように漂い拡散していきかねない魂魄を繋ぎ留めているのは、ただ一つの強い思い。 アイタイ――― あいたい――― ―――あの人に、会いたい ■white +fade